最終更新日  2002/03/29

人物 島倉伊之助
時代 幕末
越後との関連性 佐渡の出身

「胡蝶の夢」コース

司馬凌海の記念碑(佐渡)

千石船「白山丸」展示館(佐渡)

参考書籍

 司馬遼太郎著 『胡蝶の夢』新潮文庫

 実はこの作品の主人公は松本良順という蘭方医です。伊之助は良順の弟子(正式には弟子ではない)といった立場です。

 伊之助は記憶力に対して異常なほどの才能を持っており、その能力を語学に対し発揮させます、良順はその才能の必要性から伊之助を自分の手元におくのです。

 しかしながら、伊之助は世間を泳ぐコツを身に付けることができないため、幸福な人生を送ることに苦労します。


伊之助の悲劇

 伊之助は、聞いたことを一言一句丸覚えできるという特技を持っているのですが、覚えたことを理解しているわけではないようで、そのために覚えたことを結局何にも役立てることができませんでした。

伊之助の才能
 伊之助はオランダ語を流れるように翻訳し、未翻訳の術後はその場で適切に造語することができたといいます。

 長崎時代には、多くの言語を取得しました。オランダ語以外にも、現代清国語や、フランス語、ラテン語、おそらく当時の日本で、まず誰もできなかったはずの英語、ドイツ語もマスターしていたといいます。

 伊之助の才能の驚くべきところは、現地人と会話しているうちに、体で言語をほぼマスターしてしまうところで、教師や筆記用具は必要なかったようです。

 こんな伊之助を初めて見たあるドイツ人は、伊之助が「ドイツにどれくらい住んでいたか」と驚きながら質問し、またあるイギリス人は「ロンドンの街中にいるような気がする」といった。またあるフランス人の妻をもつドイツ人は、「自分の妻でもあなたのように流暢にドイツ語を話せない」といった。

 伊之助は各国の本も読めたし、他国語から他国語に通訳することもできたようです。アリング中のオランダ語をその場で漢文にかきかえてノートに速記することもできました。

伊之助の功績

「七新薬」(医学書全三巻)
 幕末の医家の必携の書とされた本を出版します。著者の伊之助の名は 「司馬凌海」という風になっています。

「春風社」(語学塾)
 ここでは英、仏、独、蘭を教えました。同時に医学所の通訳も行いました。塾生は誇張された数字と思われますが、千人を超えたと言われています。